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フカネさま

メッセージありがとうございます!!
夢見るほどに気に入って頂けて、まさしく書き手冥利に尽きております、嘉月です。
僭越ながら、フカネさまのご覧になった夢を元にssを書いてみました。
ご気分を害してしまいましたら申し訳ないです。。。

どうやら自分は、かなりの確率で、道行くゴロツキの都合の良いカモに見えるらしい。
確かに、こちらの人間たちから見れば、華奢な骨格をしているし背もそれほど高くはない(低くもないと思っているが、回りのフェリシアーノやルートヴィッヒを見ていると、その自信も揺らいでしまう)のだから、仕方が無いことだけれど。
今日は、隣にアーサーもいるというのに、と内心でため息をついて、菊は自分たちを取り囲む、あまり品のよろしくない同じ制服を着た生徒たちを見回した。

この日、たまたま生徒会の仕事が早く終わったアーサーと、たまたま日直で遅くなっていた菊は、校門で偶然出会い、ちょうど良いからと一緒に下校していた。
アーサーが、学校の正門が位置する人の往来の激しい大通りから一本外れた道に入り、比較的人通りの無い道を選んで歩いたのは、ただ単に人を避けるのが煩わしかったからなのか、それとも別の理由があるのかは知らない。
けれど、菊は閑静な住宅街の、庭に咲き乱れた花々を眺めながら歩くのは好きだったし、いつも昼食を屋上で食べる以外ほとんど会わないアーサーと一緒に帰っているというのも新鮮で、心持ちは弾んでいた。

だのに、なぜ、こういうときに限っていらないお邪魔虫が入るのか。

心底、心弾む時間を邪魔されたことに苛立ちながら、一学年上らしい学生たちを見やる。
彼らは菊を背にかばうアーサーに向かってなにやら言っているが、それほど傾聴してやる義務も義理も無いので、適当に聞き流しながら、今の自分が置かれている状況を大まかに把握した。

どうやら彼らがここにいるのは、アーサーが生徒会長に指名された時の、対立候補の差し金らしい。

馬鹿馬鹿しい。
確かに、アーサーは、歴代の生徒会長としては異例の、生徒会役員からの抜擢ではなく、一般生徒から選ばれた生徒会長だった。
生徒会書記が次の生徒会長である、という暗黙のルールがある中で無関係なアーサーが選ばれたものだから、もともと自分が次の会長として学校に君臨するのだと思っていた方は面白くないのはわかる。
だが、自分のカリスマ性や人間的度量がアーサーよりも勝っている、と少しでも思う人間なら、わざわざこんなことはしないということに、なぜ気付けない。

そのあたりも気に食わなくて、無表情な顔の下で、菊は苛々を静かに膨らませていっていた。
そうしている間に、取り囲んでいる側の神経を逆なでするようなことをアーサーが言ったらしく、学生の一人がこぶしを上げてアーサーに突っかかっていった。

それを皮切りに、5、6人の学生たちがアーサーと、彼が背後にかばう菊へこぶしを振り上げて迫ってくる。
アーサーは、菊のまろやかな肌に少しでも傷がつけば何より誰より自分が許せないだろうと思い、小柄な体を必死にかばうが、容赦なく力任せに叩き込まれる拳を避けながらでは限界があって。
一人を道路に沈め、側方から飛んできた拳を避けたために、菊が完全にカードの無い状態になってしまった。
そこに隙を見出した学生の一人が、嬉々とした下品な笑いとともに菊へと突進する。

「菊!」

慌てたようなアーサーの声に、菊はなぜか一瞬驚いたような嬉しいような、不思議な表情をしてから、すっと黒い瞳を細めて自分に向かってくる巨漢を睨み据えた。
その瞳には、普段の様子からは想像もつかないほど冷徹な光が満ちていて、拳を振り上げた男は一瞬躊躇する。
けれど、既に振り下ろされかけていた拳は止まることなく、菊の小さな頭に向けて勢いよく迫っていき、そのほほを殴り飛ばすかに見えた。
けれど、パシンと、存外軽い乾いた音がして、大きな拳は菊の小さな掌に受け止められる。
菊の、平均よりはやや小さめな、指の長い手は、大きく開いて男の拳を顔の前で受け止めて、くるりと力の篭らぬ軽い動きで回され、巨漢の体も一緒に動き、男の背中にその腕をひねり上げて動きを封じ込めた。
ギリギリと、関節にきまっているのか、ひねり上げられた学生は顔面を蒼白にして、痛みのあまり口を金魚のようにパクパクと開閉させている。

「住宅街では静かにしましょう、近隣の方々に迷惑です」

そして、耳元にそう囁いて、菊は背後から思いっきり巨漢の後頭部を強打して吹っ飛ばした。
その様子を見て、成り行きを見守っていたアーサーが意外そうに、けれどどこか楽しそうに方眉を上げる。

「やるな、本田」
「私とて日本男児。自分の身は自分で守れます。それに、貴方の背中も守って見せますよ」
「はは、言うじゃねぇか」

アーサーは、にっこりと不敵に笑う菊を見て、楽しそうに笑い声を上げて、完全に固まっていた残りの学生に向き直った。
菊には、アーサーの鮮やかにきらめく金髪と、皺の一つもない制服をまとった背中だけが見える。

「頼りにしてるぜ」
「えぇ、こちらこそ」

にっこりと笑いながら、菊もアーサーに背を向けて、背後から掴みかかろうとしていた学生に、多少手加減しながらも鮮やかな蹴りを放つ。
菊の蹴りは学生の鳩尾に綺麗に吸い込まれ、反対側の歩道まで吹っ飛んだ。
ちょうどそこに、下校途中と思しき生徒会書記の姿を見出して、先ほどアーサーに向けたものとは微妙に違う笑みを浮かべる。
それを受けて、アルフレッドの瞳に燃えるような怒りとも、凍えるような憎しみともつかぬ感情が閃いたが、すぐに空色の瞳の奥に消えた。
そして、ことの顛末を見届けることも無く踵を返して、反対方向へ歩み去っていってしまう。
背を向けていたアーサーは、それに気付くこともなかった。


あなたはいつだって弟のように可愛がってくれるけれど。
いつだって
「無理するな」
「勝手にしろ」
そんな言葉ばかり。
一度だって、「頼りにしてる」なんていってくれなかったじゃないか。

大通りへと消えていく背中に、そんなアルフレッド―――弟の立場から逃れられない少年の叫びを見て、菊はあの書記の同級生が可哀想になった。
けれど、ケリをつけたアーサーに呼びかけられて、そちらに振り返った時には、そんな思考は頭の片隅に追いやられる。

「本田、大丈夫か」
「えぇ、アーサーさんは・・・言うまでもありませんか」
「まぁな」

制服に全く乱れの無いアーサーを見て、菊は表情を悪戯っぽく緩めた。

「菊って呼んでくださらないんですか?―――さっきは呼んでくださったのに」

その一言で、凛とした不遜な生徒会長の端正な顔が、一気に茹蛸のように赤くなる。

「な、あ、あれは!!」
「嬉しかったんですけどねー」
「・・・っ」

完全に言葉に詰まったアーサーに、もう一度笑いかけて、菊は歩き始めた。
すぐに背後から、革靴が石畳を歩く音がして、後ろを振り返らずともアーサーが自分に向かってきていることを知らせてくれる。

相変わらず、閑静な住宅街は、若者の乱闘も、確執も、素知らぬふりで静まり返っていた。


Fin.

い、いかがでございましたでしょうか!?
あ、お持ち帰りは自由ですので、フカネ様のお好きになさってくださいませ!!
夢のイメージを壊してしまいましたら、申し訳ありません!!(平謝り)
何より、30分で書いたので、誤字脱字が酷いやも知れませぬ。。。

では、これからも、どうぞよろしくお願いいたします!!



以上
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